監督・脚本:鈴木英夫
撮影:宗倉泰一
山崎努、西村晃、団令子
東宝、スタンダード、104分
団令子の人生をとうに諦めたような生気のなさが、B&Wの見事な照明、スタンダードのアップ気味の構図と相俟って美しく輝いた。山崎努のぬぼぅっとした暗さと殺意はまるでロバート・ミッチャムのようだ。首を絞めたり、狭いところで口づけを強要したり、切迫した画面は、スタンダードサイズによってさらに息苦しさが増す。強盗4人組が仲間割れで人数が減ってゆくごとに、西村晃がそのダークさを徐々に増してゆくという深みのある展開力に唸った。やはりこの時代の東宝は、中堅どころの俳優が素晴らしい。「非情都市」もそうだが、鈴木英夫は怯えた人間の無表情を撮るのが非常にうまい。