「Deep In The Valley(仮題)」の編集を毎日続けている。他の仕事の合間をぬって、少しずつやっているのだが、1日、2日間が空いてしまうと何をやっていたのか分からなくなってしまう。編集は、イメージを脳裏に焼き付け、テーマを理性で読解・吸収し、それらを総合してぐにゃぐにゃと進める作業。文筆作業と違うのは、リニアな時間軸が一枚の紙の上に、一定の方向に沿って存在する訳でなく、断片的なイメージのカオスの中をまさぐりながら、新たな時間軸を読み取ってゆこうとする点だ。このばあさんが炬燵に座って呟いた言葉と、あのおっさんの愚痴と、あっちの商店街の情景が繋がってくるのではないか・・・などと、空想のリンクを思い浮かべながら、全体に通底する深い情念のようなものに辿りつこうとする。言うは易しだが、思うようには進まないもので、壁にぶち当たり1、2日投げ出してしまうと、次に取りかかるとき、再び思考を立ち上げるのに一苦労。映画はリニアの流動性の中にふっと立ち上がる美しい瞬間であり、それらは台詞によらない無言のアクションに宿っているはず、と信じる自分は、無駄に思える時間に徹底的につきあうしかないと覚悟している。