John Ford 1941 84min Fox
Written by
Erskine Caldwell (novel)
Jack Kirkland (play)
Nunnally Johnson (screenplay)
Charley Grapewin … Jeeter Lester
Marjorie Rambeau … Sister Bessie Rice
Gene Tierney … Ellie May Lester
William Tracy … Dude Lester
Elizabeth Patterson … Ada Lester
Dana Andrews … Capt. Tim Harmon
つい傑作という言葉を安易に口にしてしまう。
言ってみればスラップスティックな展開の過剰さに、口元を緩めながら、Charley Grapewinとその息子 (William Tracy、登場すれば必ずブチ切れて、物を投げつける)と、その妻となる尼僧(Marjorie Rambeau、登場すれば必ず声を張り上げ歌う!)らの奇行・怪行につきあっていると、いつの間にかさめざめと泣かされている自分にはたと気づいた。
どんでんを返すときはどんなに短いショットであろうと圧倒的に美しい斜光に人物をおいたり(走らせたり)、ボロ屋の軒先Charley Grapewinが腰を下ろすときは、正しく美しいアクション繋ぎで人物ににじり寄ったりと、キャメラの位置にひたすら感動。銀行に家を取り上げられ、寡黙な妻と一緒にあてもなく荒野を歩いてゆく時のモンタージュは、映像がどんな豊かな語彙をもってしても表象し得ないことを立証している。灰色の空と農地の塀だけで作られたフレームを、二人の老人の後ろ姿が横切ってゆく。力ない二人の歩みが一つの画面からもう一つの画面へと移動してゆくとき、本当に久しぶりに、この画面の持続がずっと続いてほしい!と願った。
また尼僧が歌声を響かせて登場すると、市庁舎では市長や職員が同調して合唱し、あんなに反対された婚姻の儀があっさり認められ、カーディーラーの元では業者がみな合唱を始め、新婚夫婦は支払いなしで新車を手に入れてしまうというあり得ないギャグの反復を前にすると、苦笑が転じて爆笑になるということもあるんだなぁと。
そして、今日6月29日はEdward Yang の命日。”A Brighter Summer Day” を決して忘れてはならない。