「谷中暮色」大阪ドサ周り二日目


昨晩は千里中央の親戚宅にご厄介になった。というのも、母親の癌治療について親戚ともいろいろ相談事があったからなのだけど、両親は自分が二十の時に茨城県に移住したが、多くの親戚、友人はまだ関西におり、千里ニュータウンはニューヨークと並び自分の人格形成になくてはならない場所だった。その中心・千里中央はまったく変わらないが、周辺の再開発はものすごい勢いで進んでおり、高度経済成長期の5階建て団地はじゃんじゃん取り壊され、セレブでリッチな高層マンションが立ち並ぶ。親戚もそんなマンションに住んでいるのだが、緑地に囲まれ丘の上にあり、建築設計もポストモダンでミニマリズム、贅沢なスペースに高い天井と豪勢で、5月の新緑に輝く地域一帯はスイスのようだと思い、実は正直嫉妬の念を禁じ得なかった。自分の生まれ育った場所が、17年後昔の面影が完全に消え、こうも美しく変化していると複雑な気持ちになる。
で、本題の新作興行だが、朝から3件新聞・ミニコミ誌・ラジオ(FM千里)の取材が入り、その後宮岡秀行氏と対談。初めてお目にかかったのだが、2000年代初めセレブレート・シネマという映画の祭典を、広島で蓮實氏、エリセなどを呼んでブチ上げていたのはNYにいたときに注目しており、面白いことをする人だなぁと勿論存じ上げていたのだが、氏には「谷中暮色」は吉田喜重の「エロス+虐殺」のようだ、というとんでもない絶賛の言葉をもらった。
ところで、シネ・ヌーヴォが文化庁の助成金で導入したDCP(デジタルシネマパッケージ)のプロジェクターは素晴らしい!今回の上映(HDV)は音声も映像もこれ以上ないほど満足している。関西のみなさん、ぜひシネ・ヌーヴォをよろしくです!

Atsushi Funahashi 東京、谷中に住む映画作家。「道頓堀よ、泣かせてくれ! Documentary of NMB48(公開中)」「桜並木の満開の下に」「フタバから遠く離れて」「谷中暮色」「ビッグ・リバー 」(2006、主演オダギリジョー)「echoes」(2001)を監督。2007年9月に10年住んだニューヨークから、日本へ帰国。本人も解らずのまま、谷根千と呼ばれる下町に惚れ込み、住むようになった。

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