ストローブ=ユイレ「オトン」の6年前に、呪文のようなダイアログ神話劇(と勝手に命名)を巨匠が手掛けていた。もっとも共通点はそれだけで、画面はオリヴェイラの方がより活劇性に満ちており、意味もなく槍を持った兵士の行進が右へ左へ画面を横切る運動感はスリリングだった。
仰角のアングルの多用は近年見られない特徴。ベルリンで見た前作「Excentricities of Blonde Hair Girl」でも目高か、上から若干見下ろす視点がほとんとだったと記憶している。
詳しくは言わないが、ヒロシマやベトナムの映像がなぜかインサートされてしまう人を食ったカタルシスはただただ呆気にとられるしかなく、見る度にこの巨匠の理解がより深い混迷にハマってゆく。
「春の劇」”Acto de Primavera” Manoel de Oliveira 1963
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