疑わしきは罰すー和歌山毒物カレー事件最高裁判決

昨日、表題にある10年前の事件の最高裁判決が出たことをTVで知った。判決は上告棄却、高裁の判決を認め、林真須美被告の死刑が確定。被告の頭髪からヒ素が検出されたこと、被告の家にあった亜ヒ素と、カレーに混入された亜ヒ素が同じ組成であったことなどの状況証拠から、被告しか犯行を行える人間はいなかった、として有罪が確定となったそうだ。
しかし、状況証拠のみで、死刑が確定してしまうのはおかしいと思う。死刑そのものの是非はおくとして(私は死刑反対だ)、「犯行を行い得た人間をシラミ潰しに当たった結果、被告しか出来る人間はいない」という消去法では、冤罪の可能性を否定できない。
疑わしきは罰せず、推定無罪ではなく、疑わしきは罰する、という裁判の在り方に疑問を持った。
様々なブログで同様な思いを持った人によって、議論が持ち上がっているようだ。毒物混入という事件の性質上、現行犯逮捕以外は、状況証拠を積み重ねる立証方法しかないという意見や、保険金詐欺の逮捕歴がある被告は近所から白い目で見られていたため、日頃から復讐心のようなものを持っていて、無差別テロを行ったのではないか、という推測も目にしたが、それと一人の人物の死刑を確定させるのは、別なことだと思う。最低限、もっと深い審理がなされるべきだろう。

Atsushi Funahashi 東京、谷中に住む映画作家。「道頓堀よ、泣かせてくれ! Documentary of NMB48(公開中)」「桜並木の満開の下に」「フタバから遠く離れて」「谷中暮色」「ビッグ・リバー 」(2006、主演オダギリジョー)「echoes」(2001)を監督。2007年9月に10年住んだニューヨークから、日本へ帰国。本人も解らずのまま、谷根千と呼ばれる下町に惚れ込み、住むようになった。

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