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Youtube 無料配信「自分とはちがう他者を受け入れることについて」
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全く異なる作風の2本の映画が、実は深いところで「寛容さ」という同じテーマを描き出しているのではないか―――この偶然からある異色の対談が実現し、Youtubeで無料配信された。
9月22日公開の「フライガール」(福嶋賢治監督)と10月上旬公開の「過去負う者」(舩橋淳監督)である。 同じキャストが出演していたことが縁で、二人の監督対談が実現。Youtube で無料配信(8/9 11時解禁)。テキスト版も公開予定だ。
⽯川慶監督、⼤森⽴嗣監督、⾜⽴紳監督などの助監督を務め、これが長編デビュー第1作の福嶋監督。一方で、アメリカ、ポルトガルなどボーダレスに映画を作り続けてきた舩橋淳監督。全く異なる経歴の二人の監督が、今の時代に向けたメッセージを打ち出し、とても濃密なトークとなっている。
日常に潜む小さな差別、匿名による誹謗中傷の暴力性、ryuchellさんの自殺報道など、ネット社会の拡大により昨今よく目にする線引き(差別・偏見)の問題、生きづらさについて、深く考えさせられる対談だ。また、対談後半には二作品ともに出演し両監督を引き合わせた俳優・みやたにが、対談に「割り込み」している。
「フライガール」と「過去負う者」は、なんとクラウドファンディングも同時に並走中。ともに拡大宣伝費のためで、Motion Gallery で「フライガール」は8/18まで、「過去負う者」は9/12まで絶賛実施中だ。
「フライガール」は、クラファン限定の写真集のプレゼントなど、クラファンでしか手に入らない映画の世界観に工夫を凝らしており、元受刑者の更生とそれを支える人々を描く「過去負う者」は、リターンに全国の刑務所で受刑者が作る「刑務所作業製品」を設定。ネット販売で大人気の横須賀刑務所の石けん「ブルースティック 」などが、どんな環境で製作されているのかも説明されており、いわゆる「塀の中」について知る機会を提供している。
<「寛容さ」をめぐる対談より、コメント抜粋>
舩橋「(「フライガール」について)みんな違ってみんないい、というセリフがありましたが、他者をどう受け入れるのか、他者のために自分が変化しなければいけないのか、変化しなくてもいいのか、などが映画のいろんなアレゴリーから見えてくる。面白いのは、この映画、変だなぁと思うのですが、変だなと思う自分が変なのかな、と逆打ちで思わせてくれる何かがこの作品にある」
福嶋「自分にも相手にもなにも強いることはしなくてよい。だけど、一方でそうすることも簡単じゃない、というのも描いている。こうです、と明確な答えを出すことはしていない。重要なものは語っているとは思うのですが、曖昧なことを曖昧なまま、重ねて描いているから、変に見えるのかも。」
舩橋「近頃でもryuchellさんが自殺されてからネットに誹謗中傷書いた人が翌日から(投稿を)どんどん削除し始めたわけじゃないですか。削除するならそもそも書くなよみたいなところがあるんですけど、無責任に匿名で適当に書いて人を誹謗中傷し、攻撃してしまうっていうことが放置されてる日本社会の問題がある。差別=線引きを安易に吐き出せて、それが暴力性を持ってしまう社会っていうのはおかしいなと思ってて、この「線引きの暴力」を突き詰めていくと、元受刑者なんですよね。「過去負う者」では、社会的に見てこの人は悪いことしましたっていうことをやった人はじゃ、もうそれでアウトなのか、と。線引き=差別して、人間が変われる可能性、セカンドチャンスを奪ってしまう社会で果たしていいのか、と問いかけたいと思いました。」
福嶋「ただ上映するだけじゃなくて、僕はこの映画を通して観た人とこの話についてこのテーマもしくはこのテーマに近しいものについて映画を通して交流したいというコミュニケーションを取りたいんですね。それを、クラウドファンディングっていうのを通せば、他のやり方を選ぶよりかはやりやすいのかなと思ったんです」
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●●●Youtube 無料配信リンク<8月9日午前11時解禁>●●●●
「自分とはちがう他者を受け入れることについて(前半)」 対談:舩橋淳監督&福嶋賢治監督(24分)
「自分とはちがう他者を受け入れることについて(前半)」 対談:舩橋淳監督&福嶋賢治監督 短縮版(5分30秒)
「自分とはちがう他者を受け入れることについて(後半)」 対談:舩橋淳監督&福嶋賢治監督(18分)
「自分とはちがう他者を受け入れることについて(後半)」 対談:舩橋淳監督&福嶋賢治監督&みやたに 短縮版(7分)
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【「フライガール」作品情報】 あらすじ
中学⽣の時に⽇本にやってきた橘瑠⾐。知り合いにふと⾔われた「瑠⾐って⽇本⼈と違うの?」という⾔葉がずっと瑠⾐の⼼にわだかまりを感じさせていた。⼤学⽣になり、友⼈のいづみに勧められ、揚げ物スタンプラリーに参加する瑠⾐。いづみは瑠⾐の⼼の引っかかりを取り除こうと、⼩説家志望でフードライターの広瀬浩司を帯同させる。⼈とのコミュニケーションをなるべく避けてきた瑠⾐は⼾惑いながらも食べ歩きの旅が始まるのだった。その道中で2人は様々な「違い」を抱えた⼈たちと出会っていくのだが…。
作品情報 『フライガール』2023/日本/85min/カラー/ 5.1ch/ 16:9
出演 岡⽥苑⼦、⼩澤うい、伊達諒、森海⽃ほか
スタッフ
監督・脚本・編集:福嶋賢治
撮影監督:⽥辺清⼈ 録⾳:上條慎太郎 サウンドデザイン:阿尾茂毅 ⾳楽:佐藤リオ VFX:トリじい スチール:Jey メイク:渡辺⾥美 製作:cavasunfilm
Web:http://flyfrygirl.com/
【「フライガール」クラウドファンディング@Motion Gallery】
タイトル: 【宣伝活動費】人との「違い」で悩み、優しさと向き合う。
映画『フライガール』応援プロジェクト
ウェブリンク: https://motion-gallery.net/projects/flygirl
ファンディング期間: 2023年6月24日〜2023年8月18日
ファンディング目標額: 100万円
サイト内容: 映画予告編、映画の趣旨説明、リターンと背景の紹介
福嶋賢治 映画監督・脚本家
1982年、神奈川県⽣まれ。⼤学在学中より映画制作を始める。卒業後、助監督として映画・テレビ・CMの制作現場にて働く。助監督を務めた映画作品に村瀬⼤智監督『霧の淵』、鹏飞(ポン・フェイ)監督『再会の奈良』、⽯川慶監督『Arc』、⼤森⽴嗣監督『Mother』、⾜⽴紳監督『喜劇愛妻物語』、𠮷⽥恵輔監督『愛しのアイリーン』、矢城潤一監督『スカブロ』等。本作が 初⻑編監督作品。
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「過去負う者」(The Burden of the Past )あらすじ
受刑者向けの就職情報誌「CHANGE」編集チームは、出所者の就職あっせんと更生支援をしていた。チームのひとり藤村(35)は、ひき逃げによる殺人罪で10年服役した田中(34)を担当し、中華料理屋に就職させたもののキレやすい性格でトラブル続き。女子児童へのわいせつ行為により2年服役した元教師・三隅(37)は、職に就いたとたんすぐ消息を絶ち、チームを落胆させる。薬物常習で2年服役後出所した森(30)は清掃会社で働くものの、長年続くコミュニケーション障害でなかなか社会にフィットできない。社会復帰に向けてもがき苦しむ元受刑者を目の当たりにした藤村らは、アメリカの演劇による心理療法・ドラマセラピーを提案。元受刑者たちと稽古を重ね、舞台『ツミビト』を公演するまでに至るのだが…。舞台初日の観客の反応は、彼らにとって全くの予想外だった。
撮影・録音・脚本・編集・監督:舩橋淳
出演:辻井拓/久保寺淳/田口善央/紀那きりこ/峰あんり/満園雄太/みやたに/伊藤恵/小林なるみ/平井早紀
2023年 / 125分 / カラー / 16:9 / DCP /PG12
配給・宣伝: BIG RIVER FILMS
【「過去負う者」クラウドファンディング@Motion Gallery】
タイトル: 社会の寛容さについて改めて考える映画 「過去負う者」をご支援ください!
ウェブリンク: https://motion-gallery.net/projects/bopthefilm
ファンディング期間: 2023年6月9日〜2023年9月12日
ファンディング目標額: 300万円
サイト内容: 映画予告編、映画の趣旨説明、リターンの刑務作業製品と背景の紹介
【監督プロフィール】
舩橋淳 映画作家
東京大学卒業後、ニューヨークで映画制作を学ぶ。第一作『echoes』(2001)がアノネー国際映画祭で審査員特別賞・観客賞。第二作『Big River』(2006、主演オダギリジョー)はベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭等でプレミア上映された。2005年アルツハイマー病に関するドキュメンタリーで米テリー賞を受賞。2012年福島原発事故を描いた「フタバから遠く離れて」は、ベルリン国際映画祭でワールドプレミア、音楽を担当した坂本龍一とともに登壇。世界に向けフクシマの窮状を訴え、その後世界40カ国以上で公開された。2012年度キネマ旬報文化映画第7位。同スピンオフ作品「放射能 Radioactive」は仏Signes de Nuit国際映画祭でエドワード・スノーデン賞を受賞。2013年メロドラマ『桜並木の満開の下に』(主演:臼田あさ美、三浦貴大)はベルリン国際映画祭へ5作連続招待の快挙。日米葡合作「ポルトの恋人たち 時の記憶」(2018)では、主演柄本佑がキネマ旬報最優秀男優賞。日本のジェンダー不平等を問いかける最新作「ある職場」は東京国際映画祭2020に選ばれ、全国で公開中。今春大阪アジアン映画祭で正式招待された「過去負う者」は今秋劇場公開予定。著書は、「まだ見ぬ映画言語に向けて」(吉田喜重監督との共著、作品社)「フタバから遠く離れて」「フタバから遠く離れて 第二部」(ともに岩波書店)など。映画業界の構造改革を訴えかける運動action4cinema(代表:是枝裕和、諏訪敦彦)のメンバーとしても活躍中。 HP:www.atsushifunahashi.com