「懲らしめ」から「立ち直り」へ

まず一歩ずつということで。

日本の刑務所の文化は、ながらく懲罰主義だった。

それを教育主義へ、「懲らしめ」から「立ち直り」へ根本的にシフトしようという動き。

そうすぐには変わらないと思うけれど、徐々に変えてゆくことが、大きな変革につながると思う。

「悪いことをしたんだから、厳しい罰を与えて当然だ」という懲罰思想は、

「で、その次、彼らの人生はどうするのか?」という点において、思考停止になっている。

それは出所者に対する差別・不寛容を生み、彼らが社会の隅に追いやられ続け、やり直しのチャンスすら与えられず、再犯者率50%という日本社会を生み出している。

他人のやり直しを認めず他者にとても厳しい社会と、自己責任社会は根っこで繋がっており、それが日本社会の冷たさを生んでいる。日本人は、困っている人を助けることにとても冷たい。

「助けを必要としている見知らぬ人を助けた」かどうかに関する調査が、イギリスの団体によって世界各国で毎年実施されているが、日本は142か国の中で最下位(21%, 2023年)であり、全世界の平均(60%)を大幅に下回っている。日本は見知らぬ人を助ける人が少ない国であり続けている。

https://www.dlri.co.jp/report/ld/295363.html

いつも繰り返しているのだけど、犯罪被害については、、、

被害者の支援がまず第一。(日本では現状全く十分でない。)

その次に、加害者のやり直しを社会で包摂してゆくシステムづくりが必要だと思う。

そのためには、どこかで社会全体が「自己責任の呪縛」から解放され、「誰もが不幸に遭うことはある。だからこそ社会と国が支援すべき」というコモンの思想がほしい。

具体的には、犯罪被害者の賠償や、シングルマザーで元夫からの養育費の取り立てが停滞してしまった弱者に対し、国が立て替え払いをする制度。(泉房穂さんが明石市で導入した)

誰でも不幸にあうことはあるのだから、それを救ってあげるのは国の役目(今は残念ながら、不幸も自分でかぶりなさいという自己責任。)とし、取り立てるのは国や市町村が行うという北欧モデルが良いと思う。

とてつもなく他人に厳しく、不幸も自分でかぶりなさいという今の社会を、根本的に逆のベクトルへひっくり返さないといけないと思う。

もっと他人のミスとやり直しを認め合う社会に。

https://digital.asahi.com/articles/ASS6N34FJS6NUPQJ00CM.html?iref=pc_ss_date_article

Atsushi Funahashi 東京、谷中に住む映画作家。「道頓堀よ、泣かせてくれ! Documentary of NMB48(公開中)」「桜並木の満開の下に」「フタバから遠く離れて」「谷中暮色」「ビッグ・リバー 」(2006、主演オダギリジョー)「echoes」(2001)を監督。2007年9月に10年住んだニューヨークから、日本へ帰国。本人も解らずのまま、谷根千と呼ばれる下町に惚れ込み、住むようになった。

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