侠客列伝   Kyokaku Retsuden


1960  マキノ雅広  東映京都  106分
脚本:棚田吾郎   撮影:鈴木重平、
出演: 高倉健、若山富三郎、鶴田浩二、藤純子、長門裕之、里見浩太郎、宮園純子
藤純子と鶴田浩二の再会場面が突出している。神社の暗がりでの藤純子の空色の着物が美しさ!東映京都の技術陣(照明、衣装、舞台、撮影のすべて)が輝いている。凡庸な流れ者と芸者の再会にもなりかねないこの設定は、鶴田浩二の抑制のきいた口調と伏し目がちな目線、藤純子の肌のフィルム的な質感とたおやかな身のこなしが、尋常ではない完成度を成し得た。残念なことにマキノのことだから、無駄なく速やかに次の大蔵(高倉健)の活躍場面に移ってしまうのだが、もっと見ていたいと切望してしまう秀逸な細部だった。
里見浩太朗が若山浩太郎を何度も平手で殴ったあと、涙を流しながら抱き合うくだりも、はっきり言って異常。暑苦しく、汚らしい男が抱き合う、過剰さとユーモアは二つの異なる要素ではなく、映画においてはむしろ融合し共存しうるのだということを、さらりとマキノは示している。
Kyokaku Retsuden  (Yakuza Lullaby)   Masahiro Makino  1960
Reunions of Fuji Junko and Tsuruta Koji is extremely well-done. The plot itself is not anything special, actually the scene could have been banal. However, all the tiny details made the scene truly cinematic; the Tsuruta Koji’s suppressed tone of voice, his downcast eyes, and Fuji Junko’s exquisite body move and her skin tone on the Toei color film in 60’s, etc. Also, I should praise the lighting, costume, set design, and cinematography — the good old days of Toei Kyoto Studio. Fuji’s sky-blue kimono is stunning against the dark shrine buildings, which undeniably proves the high standard of Toei Kyoto Studio that is long lost.

Atsushi Funahashi 東京、谷中に住む映画作家。「道頓堀よ、泣かせてくれ! Documentary of NMB48(公開中)」「桜並木の満開の下に」「フタバから遠く離れて」「谷中暮色」「ビッグ・リバー 」(2006、主演オダギリジョー)「echoes」(2001)を監督。2007年9月に10年住んだニューヨークから、日本へ帰国。本人も解らずのまま、谷根千と呼ばれる下町に惚れ込み、住むようになった。

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