あんなに気をつけていたのに腹をやられる。原因はチャイの茶葉を買い物したとき、店主に勧められたチャイティー。それにもめげず、晩には招待を受けたLatika家でのプライベートディナーへ。他はJean-Marc & Martine Therouanne夫妻(仏Vesoul 映画祭ディレクター)のみで、溝口、吉田喜重(Vesoul映画祭でレトロスペクティブを開かれたそう)の話で盛り上がる。部屋も廊下も玄関も天井まである本棚に埋め尽くされた、いかにもアカデミシャンの邸宅。カレーのおかわりにとキッチンへゆくと、一人書斎で机に向かっている男性が。いかにも学者肌というその人物、目があって話し始めると、Latikaの旦那で同様にFilm Studies の専門家だということ。二人はインドの国費留学生でソルボンヌ大学で出逢ったとか。仏語も流暢なので薄々感づいていたのだが、彼らのシネフィリー熱の源泉はやはりフランスだった!さらに驚いたのがこの旦那さんはインドのロッセリーニ研究における権威で、最近 傑作”India “についての本を書き下ろしたとのこと。東京からデリーへの機内で、私はこの作品(ロッセリーニの中で最も好きなものと断言できる)について思いを馳せていたのだが、こんな形で出逢うとは夢にも思わなかった。映画で世界は繋がってゆくのだということを実感した一夜。その後、空港へ直行。深夜便で東京へ発った。