いま映画の講義を都内のあるところで週一回受け持っている。
次回はいつかやらねばと思っていたが、引き延ばしにしていたハリウッド50年代。先人の書を読み、オルドリッチ、マン、レイなどの作品を見直していると、簡単に数時間は経ってしまっていた。特に来年生誕100周年であり、今頃ベネチアで遺作”We Can’t Go Home Again”がプレミアされているNicholas Ray は、見直す度に勉強になる。まずNick の作品には、恐ろしいことにbad acting がない。メソッド・アクティングの「神」リー・ストラスバーグとNYUの教師仲間として意気投合したそうだが、それは全く理解できない。なぜなら私見だがNick の演出はメソッドアクティングとは、似て非なるものだからだ。いつかそれについては論考を書いてみたいと思う。
しかし、Nick 作品を見直してゆく作業は、傑作”Bigger Than Life” で打ち止めかと思いきや、”American Friend” に飛び火。Bruno Ganzが寝ているシーツや、カーテンが悉く真っ赤だったのは、Nick の赤だったのか、と今さら驚嘆した。