作・演出 中都留章仁
刻一刻と戦争に向かい殺気立ってゆく社会、国民の右傾化、外国籍移民問題、神経症からの鬱、DV、新興宗教、国家に貢献すべきというファシズム、抑圧された移民によるテロリズムなど現代の問題をすべからくすし詰めにして、舞台替えナシで一気に描いてしまう構築力は圧倒的。
壁を取り払った、透明でバーチャルな部屋分けはまるでLars Fon Trier のDogvilleのようだし、ステレオで振り子のように変化する耳鳴りのようなノイズなど音響も突出していた。
精神的に完全にマイってしまっていて、互いに依存し合うことでしか生きていけない神経症的夫婦(林田麻里・吹上タツヒロ)がいい。
ある若い劇作家が、実世界の戦争・民族間の争いを命がけで、対話に持ってゆくストーリー。
作家がやりたくて仕方なかったテーマではないだろうか。
その熱さが受け手に充分伝わってくる傑作。