弱者の味方という、強い「背骨」に貫かれた宇都宮弁護士こそ、いま東京に必要なリーダーだ。

今日告示された東京都知事選の候補者・宇都宮けんじさん。
実は、いろんな折々で僕が感動を覚えた出来事の背後にいた方でした。
僕は、2010年NHKで弁護士の就職難について番組を作ったとき、過払い金請求や多重債務者救済のため働く弁護士たちに出逢いました。借金まみれの人がクライアントなのだから、労多くして実入りが少ない、そんな仕事を懸命になって打ち込む弁護士は、まさしく社会正義のため、弱者のため働く仕事で、感心しました。政府に働きかけ、新貸金業法という法律改正までやり遂げた、そこには日弁連会長の宇都宮健児氏を中心とする運動があったと知りました。
そのころ、宮部みゆきさんの小説「火車」を読みました。ささいなクレジットカードのキャッシングからどんどん借金の泥沼にはまり、身を崩してしまう、ある一人の女性の人生を描くことで、日本社会の暗部を照射してしまう傑作で感動しました。そしてあとがきで、そこに登場した溝口弁護士は、宇都宮健児弁護士がモデルとなった、ということを知りました。あの「サラ金弁護士」か!小説の感動とともに、宇都宮弁護士への興味はさらに膨れあがっていきました。
世の中、弱者はどうしても存在します。
僕が撮影を続ける福島県双葉町の避難所でも、賠償の遅れにより自立できず、まだ高校の教室で暮らしているのは、自立したくても自立できない生活弱者(お年寄り、身体障害者、生活保護受給者)の方が多いです。
僕は何もできないけど、撮影を続けていると、ふつふつと怒りが湧いてきます。
なぜこの人達は、国から無視され続けているのだろうか、と。
同時に、日々忙しく働いていると、社会の隅々に目がいかない自分に気付きます。
自分の手が届かないところで、大きな社会のうねりにより弱者に追いやられた人たち。
それを殆ど無視している自分がいつも歯痒いです。
だから、弱者の味方となることをずっと本業とされてきた方には敬意を抱きます。
この社会を底から支え、少しでも公平で自由な世の中を実現しようとする人。
「必ず人生はやり直せる」という信念で、多重債務者や原発労働者のために声を上げ、一人ひとりの救済から、法システムの改訂まで大きな視点で弱者救済をやり続けてきた宇都宮さん。
彼ほど、一本、背骨が通っている人がいるでしょうか。
人間は、背骨が大切です。
その人が生きてきた方向性、意志の力が、どこに向かっているかということです。
片手間で政治を志す人々を、このごろ散見します。
僕らは、パートタイムとフルタイムの政治家を見分ける目を磨いていかなければいけません。
パートタイムだと今は調子のいいことをいっていても、過去の蓄積も無ければ未来のビジョンもない。
長続きしません。だから、僕はタレント候補も刺客も要らない、と考えます。
社会のために奉仕する、「背骨」の通った人物こそ、政治に必要だと思います。
弱者のいない社会を実現しようとする宇都宮さんを、だからこそ支持したい。
いま日本は領土問題などで他国を挑発している場合ではありません。
福島、原発、貧困、介護・・・多くの問題を内側に抱えています。
足元を見つめ、しっかりと地歩を固める時期にあると思います。
「東京都は、福島原発で発電した最大の消費地。原発事故の被害者のみなさんを全力を挙げて支援する、救済する大きな責任がある」と仰る考えは、心から同意します。
最低賃金制度改正、非正規社員救済、健康保険料値下げ(国保漏れゼロを目指す)、保育所増設、都負担の介護制度、そして東京から脱原発=新エネルギー会社創設、友好都市東京からの非戦。
すべて、一つの背骨に貫かれていると思います。
それは、社会の隅っこに追いやられる人々を救う、という弁護士の魂です。
弱者の味方、宇都宮さんを本気で応援したいと思います。
舩橋淳(映画監督)

Atsushi Funahashi 東京、谷中に住む映画作家。「道頓堀よ、泣かせてくれ! Documentary of NMB48(公開中)」「桜並木の満開の下に」「フタバから遠く離れて」「谷中暮色」「ビッグ・リバー 」(2006、主演オダギリジョー)「echoes」(2001)を監督。2007年9月に10年住んだニューヨークから、日本へ帰国。本人も解らずのまま、谷根千と呼ばれる下町に惚れ込み、住むようになった。

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