浜辺らしき強い日差しの道端で、ばしゃばしゃと水で素足を洗うワンピースの女。
男と別れ、家庭も崩壊し、その中途で人を一人や二人、殺しているのかもしれぬ。
ことの次第は、精神科医との対話の中で、少しずつ明らかになってゆくだろう。
狂っているのは、この役の女か、それとも桃井かおり自身なのか。
挿入される女のイラストが流麗で美しく、それが炎で燃えて消えてゆく描写もなんともエロチックだ。
それも桃井自身の手により描かれたという。
新たに生まれつつある映画作家・桃井かおり自身の肉体がスクリーンにぶつけられている。
自身が狂いつつあるドキュメントと、自分のもつエロさを最大限作品に取り込もうという演出力。
脚本もほとんど1日で仕上げてしまったという桃井は、多くの刺激を体で受けとめ、一挙に吐き出す才能に長けている。
一筆書きの女は、熱く太く生きる、その鮮血の脈動を見るものにぶつけてくる。
そんな作品である。
http://hee-movie.com/
3月 香港国際映画祭にて