ようやく新宿で拝見。
ずっと見ていたいようなショットで埋め尽くされた一本。
はっとするような一瞬やただひたすら耽溺できるような時間の持続を生み出すことに命を懸けている。
男の背中の影をこれだけエロく撮ることのできる作家が世界にどれだけいるだろう。そんなキャメラへの息づかいだけで引っ張ってゆく。あえていうならDavid Lynch のようとでも言おうか。
「憂鬱な楽園」を想起せざるをえないディテールにはほくそ笑んでしまうが、Goodbye Southというような牧歌的な最後は決して受け入れないという死生観に、作品の強さを見た。
台南の富裕層の屋敷が、コロニアリズムのアフリカのように見えたのは、坂本龍一氏による音楽によるものだろうか。
明らかに映画史的記憶の”楽園”を、回顧するような視線は、作品自体を大きく時代から切り離していた。