「パラダイス・ネクスト」 半野善弘監督

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ようやく新宿で拝見。
ずっと見ていたいようなショットで埋め尽くされた一本。
はっとするような一瞬やただひたすら耽溺できるような時間の持続を生み出すことに命を懸けている。

男の背中の影をこれだけエロく撮ることのできる作家が世界にどれだけいるだろう。そんなキャメラへの息づかいだけで引っ張ってゆく。あえていうならDavid Lynch のようとでも言おうか。

「憂鬱な楽園」を想起せざるをえないディテールにはほくそ笑んでしまうが、Goodbye Southというような牧歌的な最後は決して受け入れないという死生観に、作品の強さを見た。

台南の富裕層の屋敷が、コロニアリズムのアフリカのように見えたのは、坂本龍一氏による音楽によるものだろうか。
明らかに映画史的記憶の”楽園”を、回顧するような視線は、作品自体を大きく時代から切り離していた。

Atsushi Funahashi 東京、谷中に住む映画作家。「道頓堀よ、泣かせてくれ! Documentary of NMB48(公開中)」「桜並木の満開の下に」「フタバから遠く離れて」「谷中暮色」「ビッグ・リバー 」(2006、主演オダギリジョー)「echoes」(2001)を監督。2007年9月に10年住んだニューヨークから、日本へ帰国。本人も解らずのまま、谷根千と呼ばれる下町に惚れ込み、住むようになった。

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