映画オフィシャルHP: https://atsushifunahashi.com/arushokuba/
あるホテルチェーンの女性スタッフが上司にハラスメントを受けたという実在の事件を基に、その後日談をフィクション化。事件をうやむやに処理しようとする上層部、噂が噂を呼びざわつく職場、ネットやSNSが誹謗中傷で炎上する二次被害にまで発展。ホテルスタッフの人間関係もあちこち亀裂が入る…。そんな時、ある社員の発案で有志が集まり、湘南にある社員用保養所へバカンスにゆくことに。ギクシャクしている人間関係も改善できればという善意の企画だったのだが…。
男女間格差が先進国中最下位(121位)の日本。「セクハラという罪はない」と宣う政治家までいるジェンダー平等の後進国だ。そんな社会で、ハラスメントの約45%は被害後なにもせず我慢してやり過ごしたと報告されている(厚労省調査)――それは、私たちが未だハラスメントにどう対処してよいのか、本当の意味で理解していないからではないだろうか。本作は、現代日本のあるべきジェンダーバランスの姿を問いかける。
「ポルトの恋人たち 時の記憶」「BIG RIVER」「フタバから遠く離れて」の舩橋淳監督の第9作。
【監督のことば】 舩橋淳
ジェンダー平等が大きく問題視されている昨今、ジェンダー平等ランキング世界121位の日本では、男女の地位の差がまだまだ大きい。
最大の原因は、日本社会がそもそも儒教思想に根源のある、男性封建社会に根ざしており、それを根底から変化させることが難しいことにある。日本だけでなく、東アジアの中国・韓国なども同じ問題を抱えていることだろう。
そこには、男性が(口には出さないが)優勢思想を無意識に持っており、そんな男性が組織の殆どを支配しており、また年功序列がまだまだ一般的で、年上の男性が尊敬を受けるというヒエラルキーは以前崩れていない、という二重三重の固い既存システムがある。
この映画は実際に日本の職場でおきたセクハラ事件をベースにしている。
顔出しでの映像取材が難しいため、ドキュメンタリーで撮るのではなく、事件をフィクションとして撮影した。 職場でセクハラが起きた時、組織に被害者の若い女性は守ってもらえない。
それどころか、「名誉男性」と呼ばれる仕事のできる女性上司に我慢しろ、といわれたり、ネットに実名と写真が暴かれ中傷の的になる。セクハラなんてたいしたことないだろう、と思っている男性も相変わらず多く、また善悪をはっきりさせずに、配置転換をして事なきを得ようとする自称「平和主義者」も少なくない。
職場は混乱し、人間関係はばらばらに崩れてしまう。
これは社会がいかに成熟していないか、を描いた映画である。モラルを持たない人間が寄り集まり、正しいことと間違っていることの線を引く事のできない社会は、混乱し続ける。人間の愚かさと弱さが露呈する。
そんな光なき混乱の中、本当に大切なものとはなにか?を問いかける映画になってほしいと願っている。たしかにバカもいるし、悪魔もいる。そんな人間の愚かさや弱さをどう受け入れてゆくのか、映画は問いかけている。
【作品の背景】
セクシャルハラスメントについてのドキュメンタリーを撮ることは、不可能に近い。
物理的にその瞬間をカメラで抑えることは困難だし、
セクハラ当事者や関係者にカメラを向け、インタビューすることも非常に難しい。
公表されると、いま働く職場に居づらくなる、などで二の足を踏む人が多いからだ。
同じく、LGBTQの人たちの日々の悩み、社会で生きてゆく上で避けられない”もやもや感”を生の声として聞くことはできても、“顔出し”で撮影許可してくれる人はまだまだ稀少。
そこで、実際にセクハラのあった職場の関係者、被害者、加害者や、カミングアウトの問題に直面したLGBTの人々にカメラなしで複数取材を試み、その実体験の言葉をフィクションとして映像化したのが、この映画だ。実在する場所や名前を変えつつ、しかし状況や当事者たちの心情、現場での議論や生々しい思い、リアルな感情やその熱量を核に、撮影進めた。
ジェンダー・イコーリティー(ジェンダー平等)が、世界で121位(先進国中ダントツ最下位)である日本。この国は、男女の格差をなくし、マイノリティを認めてゆこうとする“ジェンダー意識”がまだまだ発展途上なのだ。
この作品では、ベースとなる実在の事件に基づいた物語を表現するだけでなく、それぞれの役者がそのとき感じた生々しい感情、もやもやした違和感を自分の言葉で表現してもらうことを目指した。半分、即興を撮りいれた撮影スタイルである。監督・舩橋淳は、現代に生きる男女たちの「生の言葉」を映画に取り込み、観客がリアリティに満ちた時間を体験することを目指した。
役者たちが、「共同脚本」としてクレジットされているのは、そんな理由である。
【作品情報】
公開予定 2021年 上映時間 135 分 B&W + Color
フォーマット: DCP 英語字幕入り
【監督プロフィール】
舩橋 淳
映画作家
1974年生。東京大学卒業後、ニューヨークで映画制作を学ぶ。処女作『echoes』(2001)が仏アノネー国際映画祭で審査員特別賞・観客賞。第二作『ビッグリバー』(2006、主演オダギリジョー)はベルリン国際映画祭、釜山国際映画祭等でプレミア上映された。2005年アルツハイマー病に関するドキュメンタリーで米テリー賞を受賞。2012年福島原発事故を描いた「フタバから遠く離れて」は、ベルリン国際映画祭でワールドプレミア、音楽を担当した坂本龍一とともに登壇。世界に向けフクシマの窮状を訴え、その後世界40カ国以上で公開された。2013年メロドラマ『桜並木の満開の下に』(主演:臼田あさ美、三浦貴大)はベルリン国際映画祭へ5作連続招待の快挙。他に「小津安二郎・没後50年 隠された視線」(2013, NHKで放映)、「道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY OF NMB48」(2016)など。2018年日葡合作の劇映画「ポルトの恋人たち 時の記憶」(主演柄本祐、アナ・モレイラ)を監督。柄本佑はキネマ旬報最優秀男優賞に輝いた。2020年ハラスメントとジェンダー平等を描く新作「ある職場」を監督した。 オフィシャルHP:www.atsushifunahashi.com
【クレジット】
出演・共同脚本 Cast/Co-writers
大庭早紀 Saki 平井早紀 Saki HIRAI
木下智恵美Kinoshita 伊藤恵 Megumi ITO
小林隆史 Kobayashi 山中隆史 Takafumi YAMANAKA
野田善央 Noda 田口善央 Yoshio TAGUCHI
小津雄太 Ozu 満園雄太 Yuta MITSUZONO
城戸拓 Taku 辻井拓 Taku TSUJII
大曽根修 Shu 藤村修アルーノル Shu Arnor FUJIMURA
五所順一 Gosho 木村成志 Seiji KIMURA
牛原みこと Ushihara 吉川みこと Mikoto YOSHIKAWA
池田あんり Anri 万徳寺あんり Anri MANTOKUJI
山田あずさ Azusa 中澤 梓佐 Azusa NAKAZAWA
篠田一瑛 Shinoda 野村 一瑛 Kazuaki NOMURA
吉村 優 Yu 望月 優 Yu MOCHIZUKI
熊中 真 Kumanaka 羽田 真 Makoto HADA
カラリスト 織山臨太郎
ポストプロダクションアドバイザー 山崎裕
コンフォーミング 藤井亮介
サウンドスタジオ 1175 Boylston Studio
整音・ミックス 伊藤建介
編集アシスタント 前川篤史
英語字幕 石原Ivy Oldford雪子
Subtitle Integration Kevin Mcgue
宣材デザイン IFF graphics
製作 株式会社タイムフライズ TIMEFLIES Inc. 株式会社BIG RIVER FILMS
World Sales ARTicle Films 植山英美 Emi UEYAMA
配給・宣伝 株式会社タイムフライズ
プロデューサー 伊達浩太朗 Kotaro DATE
監督・脚本・撮影・録音・編集 舩橋淳
Written, Shot, Sound-recorded, Edited, & Directed by Atsushi FUNAHASHI
© 2020 BIG RIVER FILMS.
【配給・宣伝】
株式会社 BIG RIVER FILMS
メール: info@film-echoes.com
【ワールドセールス】
World Sales: Emi Ueyama, ARTicle Films
Japanese website: https://atsushifunahashi.com/arushokuba/
English website: https://articlefilms.wixsite.com/docs