PRODUCTION NOTE
時代劇パートの原作はなんと幸田露伴作「五重塔」
明治25年(1892)谷中に住んでいた文豪幸田露伴は、谷中五重塔をモデルとした小説「五重塔」を発表する。腕はいいが世渡り下手で「のっそり」とあだ名される大工十兵衛が、江戸時代の封建主義的な職人社会を無視して一心不乱に五重塔建立に身を捧げる姿と、彼と対立する親方源太、その間に立つ感応寺の朗円上人らが、十兵衛に翻弄されるも最後には和解してゆく過程を描いた。
「順々競争の世の中」では、徳の高い人間が正当に評価されず不遇に苦しむと考えた露伴の痛烈な社会批判が込められたこの作品は、明治を代表する文学作品として今も新たな読者を獲得し続けている。本作は、幸田家の協力により、時代劇パートの原作としてこの「五重塔」を参照した。